高血圧
高血圧について
高血圧は、血液中の血圧が通常よりも高い状態を指します。通常の血圧は、収縮期血圧が120 mmHg以下、拡張期血圧が80 mmHg以下です。高血圧は、収縮期血圧が140 mmHg以上、拡張期血圧が90 mmHg以上の場合に診断されます。高血圧は、心臓、脳、腎臓などの重要な臓器にダメージを与え、生命を脅かす疾患の一つです。高血圧の予防には、適度な運動やバランスの良い食事、ストレスの管理、適切な体重管理などが推奨されています。治療では、まず生活習慣の改善を行い、改善がない場合には薬物療法が一般的に用いられます。
当院の治療方針
①健診などで血圧高値を指摘された場合には、まずは家庭血圧(HBP)の測定を行っていただきます(初診時から180越えなど異常高値の場合は採血の上で内服治療をまず行います)。家庭血圧は毎朝起床時に排尿した後、食事・飲水前に測定をしていきます。椅子に座って2分程度安静にしてできれば2回の測定を行っていただきます。
②家庭血圧の平均値が125/75(75歳以上の方は135/85)を超える場合には生活習慣の改善を図ります。数か月の経過でも改善がない場合には内服治療を開始します。
③治療中もHBPの測定は行っていただき目標値よりも下がってきた場合や安定している場合は内服を減らしていきます。
(※週刊誌でよく見る“一度始めたら止められない”というのは嘘です。生活習慣が改善したり減量によって内服が不要になる方は大勢います。)
治療方法
①生活習慣の改善
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塩分制限:食塩は高血圧の原因の1つとされています。一般的には1日の摂取量を6グラム以下に抑えるように心がけましょう。
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カリウム摂取:カリウムは塩分と逆の働きをするため、十分に摂取することで高血圧の改善が期待できます。バナナやイモ類、ほうれん草などの緑黄色野菜、乳製品などカリウムの多い食品を摂取しましょう。
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脂質制限:飽和脂肪酸を多く含む肉や乳製品、揚げ物などは過度に摂取しないようにしましょう。
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魚介類の摂取:DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が含まれる魚介類は、血圧を下げる効果があるとされ、予防にも効果的です。週に2~3回の摂取を心がけましょう。
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食物繊維の摂取:食物繊維は腸内環境を整え、血圧の上昇を抑える効果があるとされています。穀物や豆類、野菜などをバランスよく摂取しましょう。
上記のポイントを意識して、食事をバランスよく摂取することが高血圧の改善につながります。また、アルコールの適度な制限、喫煙、適度な運動も合わせて行うことが大切です。ただし、高血圧の陰に病気が隠れている二次性高血圧のこともありますので、まずはご相談ください。
②薬物療法
・カルシウム拮抗薬
・アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)orアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE inhibitor)
・サイアザイド系利尿薬
・そのほか、β遮断薬、α遮断薬etc
※上記に加えて、最近ではARNIというアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬がよく使われています。特に心臓の悪い方(心不全)には重要なお薬です。
高血圧は特に自覚症状がないため健康診断での指摘を受けても放置されやすい疾患です。心筋梗塞や脳梗塞になってから始めるのではなく、今日から治療を開始していきましょう。